2017-10-06

材料規格の壁

日本で仕事をしていたときには知らなくても困らなかった世界における

金属の材料規格・海外規格

に関する情報をお届けします。
これまでは海外規格に触れる機会はまれでした。
海外のエンドユーザーはいましたが、材料支給だったり、普通に指定JIS材を国内調達していましたのでこれほど規格の種類が多いことすら知らず、気にすることはありませんでした。

  1. フランスおよび欧州の規格の現状
  2. 実務上での規格の壁
  3. 仕上げ処理との関連
  4. 規格の表記 JIS対応
  5. 切削の違い



1.フランスおよび欧州の規格の現状

材料だなの表記も数種類
こちらではもちろんフランス規格NFが多いのですが、さすが地続きです。図面によっていろいろな国の規格が混在しています。










欧州規格EN、国際規格ISO、ドイツ、イタリア、ポ−ランド、スペイン、ロシア、英国・・・
欧州以外でも大市場のアメリカや中国規格もあり、その多さを改めて思い知ります。



2.実務上での規格の壁

フランスで引き合いを頂いた物を日本に依頼して作ることもあるわけですが、そこで立ちはだかるのがこの規格の壁です!
海外材料規格対応表なる物があるので、相当材料としてJIS品を代用できる物もあるのですが、実際には代用できない物も多く、とくに熱処理に関する材種は差異が多いです。

3.仕上げ処理との関係

なので「熱処理」「表面処理」が絡むと、日本発注は厄介になります。
相当材料をこちらフランスで処理した場合、本来の性能が出るのかどうかは分かりません。逆のパターンで、こちらから材料を支給した場合、日本での処理は現実的には不可能です。
切削は出来ても、現地材は現地で処理という方法でまかなわないと対応できない可能性があります。

4.規格の表記 JIS対応

ともあれEU圏内で通貨をはじめいろいろな物が共通であるにも関わらず、EU仕様もありながら各国の規格も存在するなんとも複雑な現状です。
表記も数字だけだったり、アルファベがやたら長かったり、覚えるのに苦労します。いえ、今のところ覚えられません!
たとえば日本の「SUS304」がフランス規格の「Z7CN18-09」です。
JISの場合、表記の特徴で、アルミ、鉄系、ステンレスの見分けはつきますが、こちらの表記では判別は難しいです。

※ミスミHPから引用

上記は日本の対応表なので、大まか対応材が網羅されていますが、海外規格の材料からJIS相当を探した場合、無いものも多く、一つの壁となっています。

5.切削の違い

現在いろいろな材料を削っていますが、いまのところ切削自体で困るような物は日本と比べて特別ありません。昨今の刃物は優秀ですね!
ワイヤーカットで検証できていないので、電気条件などは気になるところです!




2017-09-29

フランスのパートナー

2012年から始まったフランス視察、第2回目の一期一会のご縁から現在のパートナーに発展した「AS-MECA BERNARD社」の紹介です。

HPはこちらから
まさしく我々と同じ町工場です。
場所はサンテティエンヌとの市境に位置する小さな工業団地にあります。

1981年 AS-MECA社として創業(ASは創業者のAlain SOWAのイニシャルです)
1996年 Bernard社と統合、現在の形となる
2016年 日本の町工場とのアライアンス「ACT」に参加
現在に至ります

切削加工において試作や小中ロットが中心ですが、一部で量産品も手がけます。
旋盤、マシニング、研磨、溶接までを自社で手がけ、それ以外の加工は外注との連携によって完成品として製品を納めます。
加工にとどまらず、装置も含めた組み立ても手がけます。

核、軍需、船舶、エネルギー、輸送、航空機産業など、多方面へ向けた製造を行っています。原発が盛んであること、そして軍需が業界の下支えとなっている印象はフランスらしいところで、その仕事の需要は多くあります。
顧客は、大手メーカーの一次請けが最も多く、営業力と顧客との歴史が強みの一つです。

従業員数は18名、私のような社内外注的な立場の会社が2社同居しています。


創業者で現社長のAlain SOWAは親日家で、そんなことも我々と手を組んだきっかけです。
地元のコミューンで副市長職をしており、町工場の社長でありながら広い視野を持った彼の人望もこの会社の特徴です。自分にとって、そして自分の家族にとっても最大のバックアップをしてくれる頼もしい仲間でもあります。奥様は我々のために日本語を習っていて、家族ぐるみでコミュニケーションを取っています!
日本のウィスキーが大好きです!


現場はとにかく明るく陽気で、自分はいつも元気をもらっています。
日本の視察を通じて、品質管理、生産管理など日本の良いところをすかさず吸収して社内改善活動を積極的に行っています。
先にリンクを紹介したHPは新卒入社の社員による製作です。日本のHPにはない「フランスらしさ」が感じられると思いますがいかがでしょうか?!
日本で一番有名なフランスの町工場にしたいのですが、競争相手がいなさそうなので、もうすでに一番かもしれませんね!

これから日仏町工場の新しい未来を作るために、タッグを強化して新しい価値を創り出す事に力を注いでいきます。