2020-05-21

フランス ロックダウン解除後の人の動き Googleコミュニティ モビリティ レポート

Bonjour 町工場社長の地域密着型ブログへようこそ

度々ご紹介しているGoogleコミュニティモビリティレポートです。
フランスでは約55日間に及ぶロックダウン状態が、全国的に5月11日(月)からロックダウンの段階的解除がはじまりました。
しかしながら、報道によると、人々の様子はせきを切ったように外出し、ソーシャルディスタンスが守られていないというネガティブな報道が多いです。パリ セーヌ川沿いでも人があふれ、この様子を見た首相が怒り心頭でパリ市長にパトロールの緊急要請を出したとか!
5月11日(月)のセーヌ川の様子
その怒り、すっごく分かります笑
自分の近所でも、もうコロナがどこかに行ってしまったかのように、騒ぐ人、友人同士で集まる、マスク無しで話す、言い出したらきりが無いですが、いわゆるロックダウン前の状態に戻ってしまった人が多く見られました。

段階的解除がはじまっただけで、基本姿勢は

Restez à la maison→Reste prudent
ちゃんと家にいてね→慎重に留まってね!

という、いわゆる今までの基本姿勢を尊重しながら段階的解除をしましょう、ってこと。
まぁこういう人たちが目立ってしまうのは報道されやすいからですが、実際には人の動きはどのように変化しているのでしょう。度々利用しているGoogle のコミュニティモビリティレポートを利用して数値を使い、

ロックダウン解除「前」と「後」

で比較してみます。

前回の「日本との比較」では、フランスと比べ、日本の緩さ(人の移動の多さ)が目立ちました。とはいってもフランスの場合は罰金などの拘束力が強いため、また外出証明書を都度持参しなければならず、家に留まるを得ませんでした。今回は純粋にフランスだけで、解除前と解除後の比較です。

  • レクレーション ショッピングセンター、映画館、レストラン、カフェなどに関する移動は、5/11の制限解除後も、まだほとんど制限が延長されているため、増加率は3割ほど。
  • 購買 生活必需品の食料などの購買のための移動  制限当初は買いだめがあり、その後緊張感の中で外出自粛による買い控えが心理的にあり、その後精神的に落ち着いたのか定期的に買い物には出かける状態であったというのが個人的な感想です。解除後は外出証明書などの持参が義務化で無くなったので、コロナ前と比べて10%の減少だけでに留まっている。自分の偵察では、これまで閉められていた「日曜大工店、スポーツショップ、園芸店、家電量販店」などが再開し、平日から激混みでした。
    上下の波は多め
  • 公園 こちらも外出制限に加え、閉鎖されていたので入ることもできず、制限中は8割前後の減少でしたが、3割減まで回復
  • 仕事場 制限中と変わらず半分以下の移動、企業の活動は開始されているが、受注が戻らないため、社員半分ほどが未だ休んでいると言う状況、政府の休業補償も約一ヶ月延長されました。
    週末、祝日の影響で波があるものの、約半数のいう結果
  • 自宅付近 平時に比べて「+」の数値、これはコロナ前に比べて移動が増えたことを表します。制限中は半径1キロ以内という移動制限があったので近所をふらつくしか無かったのでコロナ前と比べて増加です。解除後は制限が無くなりました。しかし自宅待機のままの人が多いので、自宅付近の散歩や買い物が多いのではないでしょうか?遠出をせず、まだ危機感が強い人がいるという現れか?


購買に関しては人の移動がコロナ前に近づいている印象ですが、企業活動は依然として半分以下の状態が続いています。世界規模ではまだロックダウン解除になっていない地域もあり、国と国との移動も制限が多いです。
フランスは小学校は7月からバカンスがはじまります。小学校は解除とほぼ同時に再開されたものの、あと約一ヶ月後にバカンスが控え、再開しない学校もある中、再開しても登校させない家庭もあります。共働きが普通であるフランスでは、企業活動を開始するために学校の再開が必要条件ですが、経済の回復が遅れているので、学校の再開の時期に追いついていません。

制限解除で人のストレスが解放されたことの良い点があるものの、第二波を警戒しながらウィルスとの共存、経済活動の復興を模索しなければなりません。

日本の場合は、罰金などによる強制力が弱いので、ロックダウン解除前・後の人の移動の変化が欧州と比べて大きくないように予想されますが、またデータが取れたら比較してみたいと思います。これから来る日本の主要都市の解除に向けてフランスの例が参考になれば幸いです。


政府の制限解除の啓蒙VTR 手洗い、対人間距離、
など細かく謳われています。ちゃんと守っている人はあまり見かけません。

それでは À bientôt ! (あ びあんとぅ!)

2020-05-10

フランス ロックダウン解除を直前に控えて!

Bonjour 町工場社長の地域密着型ブログへようこそ

5月11日(月)のロックダウンの段階的解除を前にして、今回は地域密着型!

自分の身の周りの環境の変化

についてお伝えします。


  1. 自宅近辺での様子の変化
  2. 感染リスクの増大
  3. ウィルスとの共存
  4. 学校の再開
  5. 最後に



1.自宅近辺での様子の変化

Saint Etienne(サンテティエンヌ)という地方都市です。
5月10日(日)の12時まではConfinement(外出規制)いわゆるロックダウン状態なので、外出に対するルール(外出証明書の持参、1時間のみ、半径1キロ以内に限り行動可)が続いています。(解除の内容は前回記事参照コチラ
しかし今週末は金曜日から3連休だったこともあり、また陽気もよく、皆これまで「55日間」 我慢してきましたが、この週末からもうコロナがどこかへ行ってしまった様な雰囲気でこれまでの空気が一変しました。

いつものように住宅街の中を1時間の散歩をすると、広場では高校生ぐらいでしょうか?10人以上集まってサッカーや遊びに興じています。
ロックダウンの段階的解除以降も団体スポーツはまだ禁止です。

住宅街を歩くと、友人?親戚?子連れで家に遊びに来ている様子がうかがえたり、庭のプールに集う7−8人程度、どう見ても一家族ではないですね。みんな集まっちゃってます!楽しそうです!!

解除以降は証明書の持参が必要なく、1時間以上でも外出できますが、ソーシャルディスタンスの確保はひきつづき謳われています。

2.感染リスクの増大

5月11日(月)以降、レストランなどを除く一般の店舗の営業が制限付きではあるが開始されるので、もちろん人同士の接触の機会は増え、ウィルスがどのくらい減ったのか確認出来ない状況の中で「ウィルスが運ばれるリスク」というのはこれまでよりも増えると言わざるを得ません。その中でウィルスと共存する道を探さなければなりません。

3.ウィルスとの共存

死者数や感染者数が減った事により今回の段階的解除が発表されたのであるが、解除後に何が基準でどう行動するべきか、まだ悩ましいです。できるだけこれまでの制限を尊重するという考え方が基準であるべきだと考えます。
自分もこれまでロックダウンの中で仕事を続けて他の社員との接触が多くありましたが、みな移動制限の効果で第三者との触れ合う機会が限定されていたはずです。今後はそれが増え、その状態で職場に集うことになります。

4.学校の再開

学校からの事前の説明がありました。それによると、準備は万全に感じるが、「これ本当に全員ができるの?」といえそうな難易度の高い項目が多いです。
子供は感染があっても重篤化がほとんど無いと言われているが、ウィルスを運搬する可能性はあり、また学校側の衛生管理がどれほど徹底できるのか、はじまってみないと分かりません。普段のインフルも子供がしっかり運んできて親が羅漢するといった事はよくあるので(^_^;
地域や学校の規模によって、そういった予防活動の完遂が出来ないと判断した学校は再開が遅れる、または9月からという判断になったことと察します。

5.最後に

個人的な所感ですが、これまでのフランス政府の対応は正しい方向性が貫かれたと思います。おかげで欧州隣国に比べて感染者、死者数はいまのところ低く押さえ込まれています。
しかし段階的解除に対する、大統領も言った「ウィルスとの共存」は政府の号令ではなく“一人一人の意識”に掛かる部分が大きいと感じます。これからフランス国民が現状の危機意識をどのように感じ、行動するのか、見守っていきたいと思います。

この週末の様子の変化を感じた限りでは、 暖かくなった陽気   と  バカンス  に向かって、開放的なラテン魂  が危機意識を邪魔しなければ良いと危惧しているところです。

お店を応援するとか、レストランのお持ち帰りをこれまで以上に積極的にやるなど、環境は整い始めたと思います。ですが上半身裸で仲間と集まってギャーギャーやるのはもう少し待ってくれ!っと心の中で叫ぶ。

それでは À bientôt ! (あ びあんとぅ!)

2020-05-08

フランス ロックダウン解除 2020.5.11

Bonjour 町工場社長の地域密着型ブログへようこそ



これまで日本の状況を見守りつつ、フランス ロックダウンの中で約2ヶ月生活してきました。人が多く死ぬと言うことになれてしまった自分がそこにいて、どういう時代に生きているのか改めて考えさせられます。数十人が死ぬテロ事件が起きればそれは大惨事だったのに、いまや300〜400人が毎日死んでいく報道がされる中でこの現状をどう理解すれば良いのか、自分自身、非常に苦しみます。
5月6日(水)の時点で一日の死者数278人(老人介護施設で100名程度)、これまでの合計が25,809人。日本に比べれば桁違いな数字ですが、状況は改善された傾向にあります。


そんな中でいよいよフランスは
5月11日(月)よりロックダウンが解除
になります。解除といっても地域間で差があり、段階的な解除がはじまるという開始日となります。

かいつまんで説明します。

  1. 感染状況 地域マップ
  2. 外出証明書の携帯が不要
  3. 学校の再開
  4. 100kmの制限付き移動許可
  5. レストラン・カフェ関連はなお開店できず


細かい制限はまだ沢山有るのですが、大きい流れは以上のようになります。



1.感染状況地域マップ


政府は色つきのMAPを用意して、その地域の状況を赤色と緑色に分けて区分けします。
フランス政府データ 発表のサイトより
パリを含む北側が赤色で感染者数、死者数の多い地域です。緑色の地域は赤に比べると改善が見られている地域となります。


2.外出証明書の携帯が不要



これまで全ての外出時には証明書が必要でした。一日に一回許された1㎞圏内の散歩にも証明書が必要でした。違反すると数百ユーロの罰金です。再犯が続くと禁固刑まで発展します。自分は毎日仕事に出ていましたが、毎日この証明書を記入して外出します。二度ほど検問に会い、会社が発行する証明書と自分で作成する証明書をガラス窓越しに見せて通過しました。


3.学校の再開


5月11日(月)が解禁日となりましたが、学校により開始日が異なる、または開始しない判断をする学校もあります。夏休み明け以降(9月)の再開を宣言するところもあります。感染リスクと学校生活を秤にかけてどちらを取るのか?開始を決定した学校でも親の判断で登校しない子供も多く出るようです。
開始の判断をした学校では、15人以下の授業体制で隔日、または午前と午後で時差登校をするなど工夫はされています。学校から、登校の可否について親の判断を要求されたので、自分は登校するという決定をしましたが、自分もまだ半信半疑です。他の親たちがどういう判断をするのか興味深いところです。全国的には半数以上が反対を示しているという報道もあります。


4.100kmの制限付き移動許可


移動に関しては100kmの移動が許可され、または所属の県内限定の移動が許可されます。公共交通機関利用の場合はマスクが義務化となります。違反すると罰金です。


5.レストラン・カフェ関連はなお開店できず


5月末に営業再開の詳細が発表されるようですが、一番最初に制限を受けたレストラン関連が最後まで影響を受け続ける形となりそうです。





冒頭で紹介した政府データによるサイトですが、

  • マップ
  • 死者数、感染者数推移
  • テスト数とその結果
  • 感染者、重傷者の移動経路と数
  • 国が企業に対する保証の金額や業種、失業者扱いの労働者数
等が見て取れます。非常に見やすいです。これまで感染者数が主要だった指標が今後は検査数、企業保証へとシフトしていくのではないでしょうか?
100年前のスペイン風邪は終息まで2年近く掛かったと言われているようです。まだ数ヶ月しか経っていないんですね。ウィルスの変質がもし起こるとするならば、できるだけ短期間に集中して自粛を行い、変質が現れる前に終息したいところですが、経済、学校とのバランスは難しい判断となります。
今回の危機がどれほどの期間で終息を迎えられるのか、こんな話をするのはまだ時期尚早と言い聞かせて、我々の意識と行動を今一度見つめ直したいと思います。

日本とは規模感が違いますが、このような状況下でのフランスのロックダウン解除でした。日本との比較は単純には出来ませんが、コロナ先進国として引き続き状況を発信して参ります。



最後に


丁度一ヶ月前のブログでお伝えした人の移動に関するGoogleのMobility Reportを現在と比較してみます。
(レポートの見方→コロナ前平常時を100%としたときの移動の回数の増減の指標)
人の移動が日仏でどのくらい変わったのか指標としてお伝えします。


※日本の現状の方がフランスの一ヶ月前と比べても人の移動は断然多い。やはり拘束力がない、罰金がないという違いは大きいと感じます。



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移動が増えたか減ったかわかりやすい指標です



それでは。 À bientôt ! あ びあんとぅ!