2016-07-26

VISA申請

海外で長期滞在して仕事をする上ではVISA(ビザ)が必要です。

VISA:滞在国が発行する入国許可証です。
このビザを取得して、入国します。

滞在許可証:これは入国後、居住する県が発行する滞在のための許可証です。
これを発行して貰わないと、滞在し続けられません。

まずはじめに在日フランス大使館でこのVISAを取得するため申請をします。
VISAにも色々種類があるのですが、自分は「Compétences et talents」(コンペタンス・エ・タラン)というVISAの取得を目指しました。

(※フランス大使館HPより引用)


このVISAは簡単に言うと、経験や能力を滞在国で発揮してその国の経済活動に貢献する
というものです。
技術職である、フランス法人の代表になるという部分が該当します。
3年間有効なので、他のVISAに比べて更新時期が長い利点があります。
また家族が同行できるため、自分が取得できれば家族のVISA申請も容易に行える予定です。
サルコジ政権時代の政策の一環で、フランス経済に取って有効なタレント・技術を多く取り込むための比較的新しいタイプのVISAです。

※申請者としての条件は
・高等教育機関修了者(学士、修士、博士)
・全ての分野における、資格を備えた専門職(高いレベルでの経験を証明することを前提とする)
・経済的な計画を有する投資家
・独立事業者:自由業、アーティスト、作家、スポーツ選手、など
・海外にグループ企業を持つフランス法人の取締役・重役
・フランスにおける系列会社または支店の最高責任者
(※フランス大使館HPからの引用)

必要書類は多岐にわたります。
(必要書類リストダウンロード フランス大使館HP⇒http://goo.gl/ReRBdG

その中で自分が苦心したのは

①自分の経験や能力を証明する証明書
②事業活動を始めるにあたり、その計画書

でした。

①は幸いにも、フランスのパートナー会社の社長が一筆したためてくれました。頭が上がりません!
②は計画書の作成と合わせて新会社の定款なども必要になり、登記準備と合わせて進めなければなりませんでした。

自分の準備と平行して、由紀精密がフランス法人設立を進めていたため、フランスのスタッフにより弁護士との仲介をしてもらい、フランス語での定款作成の目処をつけることが出来ました。
ちょうどこのタイミングに7月後半のヴァカンス開始時期がかさなり、弁護士ももちろんバカンスに行ってしまうので、ヴァカンス前に目処をつけるべく苦心した一幕もありました。早速フランスならではの洗礼です(^_^;
いずれも自分一人ではなし得ませんでしたが、仲間の存在・助力に助けられました。

そして大使館へ受付のアポを取り、申請に行きます。書類の不足・不備などがあっても訂正してくれないため、受付窓口には完璧な体制で臨まないと行けません。
ビザ申請料金は99ユーロ相当の日本円。支払は現金のみ。ビザ申請が却下された場合でも料金の返金は不可です。



申請後、町工場による特異な進出形態であったこともあり、大使館で別途プレゼンさせて貰ったりと想定外の手続きも経たのち、9月1日の申請から2週間ちょっとの9月17日にVISAを取得しました。一つハードルを越えることが出来ました。

フランスの入国許可証VISA 
ステッカーのようになっていてパスポート内に貼られます

この取得を受け、予定した入国日から起算して3ヶ月以内に入国しないといけません。
この結果を踏まえて、入国日決定、エアチケット購入、そしていよいよ入国です。
入国後は滞在許可申請を行います。
À bientôt !

2016-07-23

思い出の最後の加工

ダイショウの製造を支えてきた若手二人

在籍中の個人の年間目標の一つで、仕事以外で加工テーマを決めて自分で製作をするという社内の課題がありました
転籍のタイミングで婚約することになった社員から申し出がありました
ダイショウで

「結婚指輪を作ってみたい」

と!
弊社の技術特徴の一つにマシニングの同時4軸加工があります。
この技術を使うチャレンジをすることになりました。

モデリングから試行錯誤しましたが、時間の猶予が無く、指輪デザインは町工場とのコラボで活躍中のデザイナー西村拓紀さんに依頼することにしました。
http://www.hndi.co.jp/

彼とは「製造+デザイン」のプロジェクトでいくつかの仕事を共にさせていただきました。時間の無い中、こちらの事情を察していただき快諾いただきました!

茅ヶ崎市ホノルル市 姉妹都市提携トロフィー
全日本空手選手権メダル製作
(※写真:西村拓紀デザインHPより引用)


そしていよいよプロジェクト始動!

●奥様の意見も取り入れて

デザインコンセプト 決定

シンプル だけど この世に一つしか無い指輪
二人で重なり合って生きていく 証を象徴
生活に寄り添いたいから、シンプルにも表情豊かにもつけられる
(※西村拓紀デザイン株式会社)

●デザイン決定

当人たちはもちろん、私も非常に気に入りました!向きを回転するとダブルとシングルの部分で表情が変わるデザインです。


●試作加工(ステンレス)

⇒治具加工(先輩の指導の下、加工)



●本加工

旋盤ブランク加工(私)⇒マシニング4軸加工(社員二人)⇒ワイヤーカット切断(当人)⇒旋盤仕上げ(当人・私)










研磨前の磨きは奥様も参戦、サイズの微調整までされてました!
(本画像は披露宴で製作の模様をスライド上映したものです)





●仕上げ研磨前




●完成(チタン製)




結婚式で指輪の交換、そして列席者に指輪の披露が行われたときにはさすがにこみ上げる物がありました(^_^;




我々は物を作る事が仕事ですが、その喜びの原点に触れることが出来ました。そして本人、そして関わった我々にとっても良い経験と思い出が出来ました。
物を造る、証を作る・・・ものづくりの力を信じ、フランスでも製造と技術を通して人とつながりたいと思います。

協力
西村拓紀デザイン株式会社
代表取締役:西村拓紀(にしむら ひろあき)

2016-07-22

生産終了、そして資産売却

株式会社ダイショウ(有限会社大昌製作所)は約半世紀にわたり、製造で事業を営んできました。

1967年 創業当時の第一期工場

1983年 創業から16年後に現工業団地へ移転


今回の挑戦のため、日本でその製造を一時的にやめる決断をしました。
町工場、ものづくりは工場インフラ、工作機械、工具やその他の設備があってはじめてお金を稼ぐことが出来ます。生産休止の決断をした瞬間インフラと設備の重さに、改めて気づかされます。





おそらく、製造で起業した1代目の工場経営者は苦労してそのインフラを整えるわけで、その重みを理解していますが、自分は2代目です。そのインフラに最初から守られていたわけで、今までその上であぐらをかいていたとさえ感じました。


SNS中で仲間の町工場での製造風景の投稿をみると、うらめしく思うくらい、生産から離れること、自分の手から設備が無くなることは恐怖でもありました。


しかしそれらの設備に関してはCmonoCに引き継がれ、今後何かしらの形で今回の挑戦に関わってくれるので、少しですが安心材料ではあります。

設備の移籍先の一つとなったCmonoCの「株式会社Quleadクリード」新工場

渡仏に先立ち、自分は「Compétences et talents」(コンペタンス・エ・タラン)という滞在許可書を取得してフランス事業を目指します。


自分の経験と多少の能力しか持っていけません。
結局のところ、フランスに設備が無いと物は作れないのですが、同業のパートナーの存在でそれが実現可能となります。




心境的には包丁一本で外国に店を出す料理人の心境とはこういう物か、と勝手に想像します。


自分に出来ることは、単純明快です。
町工場で養った経験を進めるのみです。
退路を断った進出計画
一人の限界もあり、一足飛びには行きませんが、一歩一歩あゆみを進めます。