2020-04-17

フランスで「3Dプリンタ」初造形!

Bonjour 町工場社長の地域密着型ブログへようこそ

世界がコロナ危機に渦巻く中、フランスは外出制限がはじまり、自宅軟禁状態となりました。この期間をチャンスと捉え、

3Dプリンタの造形にチャレンジ

することにしました。


  1. 光造形タイプ
  2. 機器
  3. 造形環境
  4. 造形準備
  5. 初造形テスト結果
  6. 加工時間


1.光造形タイプ

以前から光造形に興味があったのですが、機械が高価で手が出ませんでした。熱溶解による積層造形タイプ(FDM)の機種は家庭用の機種が1万〜数万円で買える時代になりましたが、光タイプは管理も大変だし、材料代も高く、高嶺の花でした。
しかし4〜5年前から30万円程度の機種(DLP方式)が出始め、その造形の美しさに惚れ込んでいましたが、ここ数年で3万円台で買える物が出回り始めました。その価格になったのは技術革新のおかげなのですが、LCDタイプと呼ばれる液晶を利用した装置による積層が可能になりました。
紫外線で感光すると固まる液体樹脂へ、液体の下から、埋め込んだLCD(液晶画面)が紫外線を照射します。
積層ピッチは最小0.025㎜、これによりFDMにくらべて滑らかな造形が可能となりました。

加工範囲はX150㎜×Y75㎜×Z150㎜とFDMに比べると大きくないですが、今回は自分にとって入門用なので問題ありません。’構造上大きく出来ない’ というのがこのLCD機種の特徴でもあります

2.機器

製品 NOVA3D Elfin


AMAZONの荷姿はこんな感じ。300㎜角のタイルなので600×450㎜程度でしょうか?


NOVA3D 製品名 Elfin (中国製)

NOVA3D サイトはこちら

3.造形環境

まだ場所が確保できていないので、自室の一部でテスト開始。温度による造形精度の違いもあるので、まずは平均的な環境で初テスト開始!室温21度、樹脂が紫外線に感光しないように直射日光の当たらない場所を選択します。

タッチ式の操作画面 WIFI接続が可能なもの、この機種Elfinの特徴です

4.造形準備

専用のソフト(スライサー)をパソコンにインストールして、 加工データを排出します。機械付属のサンプルデータで加工を行いました。
造形加工条件はデフォルトのままでまずはトライ!


上部のヘッド部分がプラットフォーム、プラスティック本体にアルミ板が取り付けられています。
下部にある弁当箱がVATと呼ばれるレジン受けです。この中にプラットフォームが入り、アルミ面に造形物が造形されます。

今回購入したマシンElfinの特徴は、初めにプラットフォーム(品物が造形される場所)のキャリブレーションが要らないことです。下部の液晶面と平行が出ていないと造形不良を起こすので造形ピッチ以下の平行度が必要になるのですが、このマシンは設定済みで、プラットフォームの取り付け「ガタ」がほとんど無いので取り外し〜再取り付けの繰り返し精度が他の機械よりも出やすい構造になっています。初心者でも開封後にすぐに使えると言うことですね!加えて送りねじの支持方法が、一般的には片持ちなのに対し、この機種は両端軸固定です。後発機種なので、この辺は精度にかかわる部分になるので、他メーカーを研究しているようです。

VATと呼ばれる材料入れに液体プラスティック(レジン)を入れていざ加工開始!メーカー推奨のレジンが手に入らなかったので、水洗い可能なレジンを購入、無謀にもいきなりこれでトライします。
熱溶解積層造形ではない、この手の光造型機の場合、加工完了後は液体のレジンにまみれているので、IPA(イソプロピルアルコール)で洗浄しなくてはなりません。しかし最近水洗い可能なレジンが出回り始めており、今回はこれを使用します!



細かい部分は洗浄が大変なので、超音波洗浄機をAMAZONで物色中・・・!
造形加工時間は約4時間でした。



タコサンプル、このタコの足は自在に動きます。組み立てたのでななく、一度の造形で部品のクリアランスも考慮して造形されます。したがって分解することが出来ません。



2.5時間 0.05㎜のピッチですがこの精度、仕上がりです。ピッチを最小にして、メディアを使ってバレル研磨で表面を仕上げてみたいです!

5.初造形テスト結果

結果、造形自体はうまくいきました。しかし何が一番大変だったかというと、造形完了後、プラットフォームに張り付いた品物を外すのが、もうどうやってもはずれなくて苦心しました。方法が分からず、無理に剥がすと品物が壊れるし、プラットフォームも傷つくし、まだそれ用の道具もそろっていません!果物ナイフを利用して時間をかけてなんとか剥がしましたが、一部品物が壊れるというハプニングもありました。今後、専用の道具と外すコツを研究します。油絵のコテ?が薄くて強度もあり、良いようなので一度購入してみます。→インプレッションはコチラ
造形中はプラットフォームは下を向いています。造形完了後、プラットフォームを本体から外して品物を剥がし取る工程。まだ液体のレジンも付着した状態。ここから品物を取り外すのが一番苦労しました。

もう一つ、洗浄後、紫外線を当てて二次乾燥を促してから完成になるのですが、二次硬化段階で変形がありました。これは加工条件の照射時間の不足により一次硬化が不足していたようでした。


6.加工時間


FDM熱溶解積層造形(フィラメントタイプ)と違い、照射時間とそのピッチ数が全体の加工時間に影響するため、同じ品物を並べて二つ作っても、全体の加工時間は変わりません(LCD方式)。
積層造形の場合は二個作ると単純に加工時間が二倍になるのでその点は大きな違いです。よって加工高さに比例することになり、同じ品物でも、例えば煙突のような物を縦に積層すると長く時間が掛かり、横にするとあっという間に終わります。ただし実際には三次元モデルへ造形用のサポートが必要であったりモデルを傾けるなどの工夫が必要になるのですが、その辺は別の投稿で紹介します。

今後は寸法精度がどれだけ確保できるか挑戦します。
あわせて塗装無しでの光造形素材を生かした表面仕上げの方法を検討したい(金かかる汗)。。。です。

精度が確保できれば複雑形状品の寸法検査治具などへの応用が可能だと考えています。切削では不可能だった形状への応用を模索します。

長々とお付き合いいただきありがとうございました。ニッチなブログがさらに深くなってしまいました。いずれは3Dプリンタ専用のブログを立ち上げたいと思います。
「フランスで造形」期待して下さい!!


それでは。 À bientôt ! あ びあんとぅ!

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